胃ポリープとは
胃の内壁にできる小さな腫瘍または腫れた組織の塊です。胃ポリープは、症状がほとんどないので健診などで確認されることがほとんどです。形状によって、粘膜下腫瘍型、無茎型、亜有茎型、有茎型の4つに分類されます。胃炎があると、胃ポリープを発症しやすいといわれています。
胃ポリープは通常良性であり、がんに進化することは稀です。ただし、一部の胃ポリープは悪性化する可能性があるため、定期的な胃カメラ検査が必要となります。
胃ポリープと胃がんの関係
胃ポリープのほとんどが胃底腺ポリープであり、その他に過形成性ポリープ、腺腫性ポリープがあります。このうち胃底腺ポリープと過形成性ポリープはがん化する可能性が低い良性腫瘍です。腫瘍性ポリープは、良性ですががん化する可能性のある胃ポリープです。
胃底腺ポリープと過形成性ポリープは、胃がんのリスクは低く、基本的には経過観察で問題ありません。過形成性ポリープは、ピロリ菌の感染が原因で発生することが多く、除菌治療を行うことでポリープの消失や縮小がみられます。2㎝を超える大きさの過形成性ポリープは、稀にがん化する可能性があります。大きなポリープは出血が起こりやすく、大量出血すると貧血や下血などが起こります。
腺腫性ポリープは、前がん病変と考えられ、がん化する可能性があるので内視鏡で切除することが望ましいとされています。腺腫性ポリープは、ピロリ菌による胃粘膜の萎縮によって発生します。ピロリ菌の感染がわかったら、早めに除菌治療を行いましょう。
胃ポリープの症状
胃ポリープは、発生しても自覚症状はほとんどありません。
進行すると、胃痛、腹部の膨満感、胃もたれ、食欲不振、みぞおちの痛み、貧血などの症状が現れます。
過形成性ポリープのサイズが大きいものだと、出血による貧血が起こる場合があります。
胃ポリープの診断・検査
胃ポリープは、バリウム検査や胃カメラ検査で診断が可能です。
胃ポリープの形状や状態、がんのリスクなどを正確に診断するには、胃カメラ検査が必要となります。胃カメラなら、胃粘膜に発生したポリープを直接観察して、必要に応じて生検することも可能です。また、ピロリ菌の感染を調べることもできます。当院では、内視鏡専門医が鎮静剤を用いて苦痛を抑えた胃カメラ検査を行っています。胃カメラに苦手意識のある方も安心して検査が受けられますので、お気軽にご相談ください。
胃ポリープの治療方法
過形成性ポリープの大きさが1㎝以下のサイズは、経過観察で様子を見ます。
ポリープが大きくなるとがん化のリスクがあります。急に成長する胃ポリープもあるので、半年から1年に1回のペースで胃カメラ検査を行い、状態を確認する必要があります。
また、ポリープの組織を採取して病理検査を行い、がん細胞が検出された場合、改めてポリープの切除を行います。
胃ポリープの大きさが2㎝以上のもの
2㎝以上の過形成性ポリープや腺腫ポリープは、内視鏡を用いたポリペクトミー(内視鏡的ポリープ切除術)やEMR(内視鏡的粘膜切除術)で切除します。
腺腫性ポリープは2㎝以下であっても、前がん病変のため基本的には切除することを推奨しています。腺腫性ポリープは、電気メスで直接病変を切除するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で切除します。そのため、腺腫性ポリープは入院設備の整った連携医療機関を紹介いたします。