アニサキスとは
アニサキスは、体長15ミリ程度の大きさで白い糸状の形状をした寄生虫です。海洋生物を中間宿主とし、魚や魚介類に寄生します。人間がアニサキスに寄生された魚を食べることで、アニサキス症を発症することがあります。人体に入ったアニサキスは、1週間程度で死滅するので、無症状のままで済む場合もあります。しかし、激しい腹痛や腸閉塞などを発症することもあるので注意が必要です。
アニサキスは、内視鏡で除去することで症状はすぐに解消されます。魚介類を食べた後に、激しい腹痛、発熱、嘔吐などの症状がある方は、早めに内視鏡検査が受けられる医療機関を受診しましょう。
アニサキスの症状
- みぞおちの辺りに強い痛みがある
- 嘔吐、吐き気
- お腹の張り
- 便が出ない
- 我慢できないほどの胃痛・腹痛
など
上記の症状の他に、アレルギーのような症状や炎症が見られることもあります。
アニサキスの種類
胃アニサキス症
胃にアニサキスが侵入し、急激な腹痛、悪心、嘔吐などの症状が現れます。胃カメラで除去するとすぐに症状は治まります。
腸アニサキス症
小腸や大腸にアニサキスが寄生し、腸内で炎症を引き起こします。発症頻度は、約1%と非常にまれです。下腹部の激しい痛み、腹瀉、血便、吐き気などの症状が現れます。腸閉塞や腸穿孔、腹膜炎など重篤な疾患を引き起こす可能性があります。
消化管外アニサキス症
アニサキスが消化管以外の部位に侵入する病気です。主な症状にはアレルギー反応、皮膚のかゆみや発疹、呼吸困難などが含まれます。
アニサキスアレルギー
アニサキスに対するアレルギー反応が起こる場合があります。重篤な場合にはアナフィラキシーショックが生じることがあります。死滅したアニサキスやアニサキスを取り除いた魚介類でもアレルギー反応が起こることがあります。アニサキスアレルギーがある方は、アニサキスが寄生している可能性が高い魚介類は食べるのを控えるようにしましょう。
アニサキスの検査方法
胃アニサキス症は、胃カメラ検査で胃の粘膜を直接観察するだけでなく、アニサキスをみつけたら除去することができます。アニサキスは除去するとすぐに症状は解消されます。胃カメラ検査は、最後の食事から7時間経過していないと検査が受けられません。時間があまり経っていない場合は、超音波検査で調べることもあります。
また、発症頻度が稀な腸アニサキス症は、大腸カメラまたは超音波検査、抗アニサキス体を調べるための血液検査を行います。
アニサキスの治療
現段階で、アニサキスに有効な薬はありません。胃アニサキス症は、胃カメラ検査で摘出することでつらい症状はすぐに解消されます。胃カメラ検査を行うのが難しい場合には、投薬治療を行います。
アニサキスを予防するには
魚介類を十分に加熱していない状態で食べると、アニサキス症にかかるリスクが高くなります。体長15ミリほどの大きさなので、調理の際はアニサキスがいないかよく注意してみましょう。
-20度以上の環境で24時間以上冷凍する、または60度以上のお湯で1分以上加熱するとアニサキスは死滅します。予めこのような処理を行うことで、感染を予防することができます。魚介類の内臓に寄生しているアニサキスは、宿主が死んだあとは筋肉に移動します。新鮮な魚介類を刺身にする際は、鮮度が高いうちにすばやく内臓を処理しましょう。