萎縮性胃炎とは
胃の粘膜が炎症を起こし、萎縮する状態を指します。慢性胃炎と同じように、胃粘膜の正常な組織が破壊され、次第に胃の粘膜が薄くなるのが特徴です。
ピロリ菌感染によって、長期に渡り炎症が続くことで、胃酸の分泌が低下し、胃の消化酵素も減少する恐れがあります。これにより、栄養の吸収が妨げられ、ビタミンB12や鉄分などの栄養素の不足などが生じることがあります。
胃潰瘍の原因
萎縮性胃炎の主な原因はピロリ菌感染ですが、他にもリスク要因となるものがいくつか挙げられます。
ピロリ感染
萎縮性胃炎の主な原因は、ピロリ菌感染によるものです。ピロリ菌は胃の粘膜に感染すると、慢性的な炎症を引き起こす可能性があります。ピロリ菌は、尿素を分解してアンモニアを作り出すウレアーゼという酵素を生成します。アルカリ性のアンモニアは、胃粘膜を傷つけるため、ピロリ菌に感染すると胃粘膜に炎症が起こります。炎症が続くと、胃粘膜の破壊と修復を繰り返しながら次第に粘膜が薄くなっていきます。
自己免疫性の要因
免疫系が誤って正常な組織を攻撃し、それが胃の粘膜に炎症を引き起こすことがあります。この自己免疫性の反応が胃粘膜の萎縮を招くことがあります。
年齢
加齢に伴い、胃の粘膜が本来の機能を失いやすくなります。高齢者は萎縮性胃炎になるリスクが増加することがあります。
これらの要因が単独または複数組み合わさることで、胃の内膜が萎縮性胃炎になる可能性が高まります。原因は様々で、患者の個々の状況によって異なるため、医師による適切な診断と治療が必要です。
萎縮性胃炎の症状
萎縮性胃炎は通常、症状がほとんどないか軽度であり、無症状のまま進行することもあります。しかし、重度の場合には胃の不快感、胃痛、食欲不振、貧血、腹部膨満感などの自覚症状が現れることがあります。
萎縮性胃炎によって起こる胃痛や胃の不快感などの症状は、ピロリ菌の除菌治療を行うことで症状の改善がみられます。
萎縮性胃炎を放置するリスク
ピロリ菌は、慢性胃炎や萎縮性胃炎を引き起こすだけでなく、胃がん発症にも深く関係しています。萎縮性胃炎や慢性胃炎をそのまま放置していると、長期に渡り胃粘膜の炎症がつづくことで胃粘膜が萎縮して瘢痕組織が形成されます。やがて、一部の組織ががん化することで胃がんを発症します。
慢性胃炎や萎縮性胃炎がみつかったら、すぐに治療を行うことで胃がんの予防につながります。また除菌治療後も、胃の状態を確認するために定期的な胃カメラ検査を受けることを推奨しています。
萎縮性胃炎の検査
症状の他、常用薬の有無や食生活など詳しく伺います。萎縮性胃炎で起こる症状は、他の上腹部疾患で起こる症状と似ているため、医師が必要と判断した場合、胃カメラ検査で病気の診断を行います。胃粘膜の萎縮が見られる場合、胃がん発症のリスクが高いため、早期に治療を行うことが大切です。
当院では、内視鏡専門医が鎮静剤を使用して苦痛を抑えて楽に受けられる胃カメラ検査を行っています。胃カメラが苦手な方もお気軽にご相談ください。
萎縮性胃炎の治療方法
ピロリ菌に感染している場合、除菌治療を行うことで胃痛や胃の不快感などの症状を改善することができます。ピロリ菌は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんの主な原因となるため、早期に除菌治療を行うことで予防することができます。ピロリ菌の除菌治療は、胃酸を抑える薬と抗菌薬を1週間内服して、除菌ができたかを確認します。除菌治療をした後も、胃粘膜の状態を確認するために、定期的な胃カメラ検査を受けましょう。