いぼ痔とは
いぼ痔は、肛門周囲にできるできもので、発生する場所によって内痔核と外痔核に分けられます。肛門の歯状線よりも内側にできるものを「内痔核」、外側にできるものを「外痔核」と呼びます。いぼ痔の発症は、男女差はあまり無く、年齢は46~65歳の有病率が高い傾向があります。
内痔核について
痔の中で、最も多いのが内痔核で、肛門の歯状線よりも内側にできます。繰り返す便秘や下痢で肛門に負担がかかる状態が続くと、血流が滞ってうっ血していぼのように腫れた状態が内痔核です。肛門内側の部分は、知覚神経が無いため、痛みなどを感じることはほとんどありません。肛門からの出血や痔核の脱肛によっていぼ痔に気が付くことが多いです。
内痔核の原因
排便時に強くいきむ、慢性的な便秘や下痢、女性は妊娠や出産をきっかけに発症します。特に、強くいきんだり勢いよく便を出すと、肛門に負担がかかりやすいので注意が必要です。
内痔核の症状
知覚神経が無いので、痛みなどの症状はほとんどありません。排便時に便がこすれて出血したり脱肛して初めて気が付くことが多いです。
内痔核の分類と治療法
内痔核は、「Goligher分類」による4つのタイプに分けられます。
Goligher分類
症状 | 治療 | |
---|---|---|
1度 | 歯状線の内側にとどまっているいぼ痔で、時々出血や痛みが起こります。 | 軟膏や軟膏、生活習慣の改善 |
2度 | 排便時に強くいきむと、脱肛するけど自然に元の位置に戻ります。時々出血や痛みが起こります。 | 軟膏や軟膏、生活習慣の改善 ジオン注射 |
3度 | 強くいきむと脱肛して指で押すと元の位置に戻ります。時々痛みや出血が起こります。 | ジオン注射 指で押し戻すのが難しい場合は手術と注射の併用 |
1度 | 常に脱肛していて指で押しても元に戻りません。激しい痛みや腫れがあります。 | ジオン注射+手術 |
外痔核について
外痔核は、歯状線の外側にできるいぼ痔です。
内痔核と同様に、慢性的な便秘や下痢によって発症します。外痔核は、次第に形成していくものと、何度も繰り返す下痢などで急に発生するものがあります。急速に発生した外痔核の中でも、特に血栓性外痔核は、強い痛みを伴います。
外痔核の症状
外痔核は、知覚神経が豊富な皮膚(表皮)にできるので、強い痛みがあります。表面も皮膚で覆われているので、出血することは稀です。血栓性外痔核は、破れやすいので出血することがあります。外痔核によって引き伸ばされた皮膚は、外痔核を治療した後ものびてたるんだ皮膚だけが残ります。
外痔核の治療
外痔核のほとんどは、軟膏や内服による治療で治ります。食生活や生活習慣の改善によって、小さな外痔核であれば自然と小さくなっていきます。血栓性外痔核のような強い痛みを伴うものは、皮膚切開をして血栓を取り除いたり外痔核そのものを切除することがあります。
また、外痔核によってできた皮膚のたるみは、外科的な治療でしか治すことができません。
痔の再発予防
外いぼ痔の再発を防ぐには、便秘や下痢の改善、生活習慣の見直しが必要です。
長時間、同じ姿勢でいると、肛門に負担がかかって痔のリスクが高くなります。デスクワークや立ち仕事の方は、1時間に1回は歩いたり姿勢を変えるようにしましょう。
冬だけでなく夏もお風呂に浸かるようにして、血行改善につとめましょう。ストレッチやヨガも血行促進の効果があります。適度な運動を生活に取り入れることも大切です。
水分摂取や食物繊維、乳酸菌を含む食事を心がけることで、腸内細菌を整え便秘の改善に効果があります。香辛料や唐辛子など刺激の強い食べものは、肛門に負担がかかるので、食べ過ぎないようにしましょう。お酒は下痢になりやすいので、飲みすぎには注意しましょう。タバコは、血管収縮による血流の悪化で、痔のリスクが高くなります。
排便時に強くいきむ、長時間いきむことは避けましょう。なるべくトイレを我慢しないで、便意が起こったタイミングでトイレに行くように心がけましょう。