胃がんとは
胃がんは、胃粘膜の細胞が何らかの原因でがん化して、胃粘膜から粘膜下層、固有筋層、漿膜と外側に広がっていくがん疾患です。主に胃の粘膜を覆う線細胞ががん化する腺癌が一般的です。粘膜下層にとどまるものを「早期胃がん」、筋層より深く広がっていくものを「進行胃がん」といいます。
初期の胃がんはほとんど自覚症状がありません。進行すると嘔吐、体重減少、食欲不振、腹部の不快感などの症状が見られることがあります。
胃がんの罹患率
胃がんは、男性の10人に1人、女性の21人に1人の割合で発症がみられます。
かつて胃がんは日本人の死亡原因第1位でしたが、内視鏡検査の普及や治療法の向上によって男性は第3位、女性は第5位となっています。胃カメラ検査なら、早期胃がんの診断や治療が可能です。胃がんの発症リスクが上がる40歳を過ぎたら、1年に1度の定期検査を受けましょう。
胃がんの原因
胃粘膜は粘液で守られていますが、刺激の強い食べものや塩分の多い食事などは、胃粘膜への刺激や炎症を引き起こして、胃がんのリスクが高くなります。また、早食いや食べ過ぎ、夜中の食事など食生活の乱れやストレスも胃への負担につながります。
胃がんのリスク要因
- 塩分の摂り過ぎ
- ピロリ菌の感染
- 喫煙
- 多量の飲酒
ピロリ菌は、胃がんをはじめとする様々な疾患に関与しています。50歳以上の約70%の方が、ピロリ菌に感染しているとされています。感染しているからといって、必ず胃がんを発症するとは限りませんが、感染がわかったら除菌治療を行うことで、胃がんの予防につながります。
胃がんの症状
胃がんは、初期の自覚症状がほとんどありません。がん細胞が増殖して広がると、胃痛、胸やけ、腹部膨満感、食欲不振、みぞおちの痛み、さらに進行すると、吐き気、嘔吐、タール便、吐血などの症状が起こります。
胃潰瘍などでも、似た症状が現れるので、症状だけで胃がんの診断をすることは難しいです。気になる症状が続くときは、早めに胃カメラ検査が受けられる消化器内科を受診しましょう。
胃がんの診断・検査
胃がんを診断する主な検査は、バリウム検査や胃カメラ検査です。バリウム検査は、胃のひだの状態や変形を調べることができますが、初期の胃がんは見落とされがちです。胃カメラ検査なら、胃粘膜の状態を観察することができます。疑わしい組織は、採取して病理検査を行い確定診断することも可能です。胃がんは、初期に発見することができれば適切な治療で完治が見込めます。当院では、内視鏡専門医による精度の高い胃カメラ検査を行い、胃がんの早期発見に努めています。胃カメラ検査に苦手意識のある方も、鎮静剤を使用して行うのでリラックスして検査が受けられます。
胃がんの治療方法
胃がんは、ステージによって治療法が異なります。
初期の胃がんは、内視鏡的切除で治療が可能です。その他、外科手術や化学療法、放射線療法から進行度に合わせて治療法を選択します。
胃がんは、かつて死亡率が高いがんでしたが、転移の無いステージⅠの胃がんであれば、胃の機能を温存したまま、がんだけを胃カメラで取り除く治療を行うことができます。早期に胃がんを発見するためにも、定期的に胃カメラ検査を受けましょう。